R&B Song Book "You"〜Pt.15

えらい久々です。サボッたつもりはないんですが(笑
このコーナーは"アナタ"をシンプルに託し歌った、数々のナンバーを紹介。
その上、ブライアン・マクナイトを長々と語ってしまいます。


さて今回、紹介するのはBrian McKnight "You"

I Remember You

I Remember You

ブライアン・マクナイトの魅力は、そのソングライト・スキルではないでしょうか。
同じ卓上の演奏家・ベイビーフェイスにも通じる部分はあると思いますが
甘く、掴みの強いメロディで主張するベイビーフェイスと、
ハーモニックに組立てられ、メロディもクールに抑制された口当たりのブライアン。
じっくり聴けば、双方の相違を明らかに感じます。


ブライアンのレパートリーには、ヴォーカルの存在感が強く
彼自身の作品は勿論、プロデュース作品にも明確に表現されています。
ブライアンの兄は言わずと知れたTake6のクロード・マクナイトですが、
そのTake6のコーラスワークにインスパイアされたと思しき
美しく、繊細なハーモニーで彩られた作品群はどれも聴き手すら
ハートが身震いする様な感傷を伴う程、センチメンタルに響きます。


ブライアン・マクナイトが気になる存在になったきっかけは、
GUYのダミオン・ホールが唯一リリースしたソロ・アルバムでした。

Damion Hall 『straight to the point』('94)
GUYのダンサー"Crazy Legs"として、その名を轟かせた割には
ヴォーカル・ナンバー主体の聴き応えのあるアルバムで
"良い意味で裏切られた"素晴らしい作品集でした。


ボトムの押しが強烈で、且つユニークなメロディ・タッチの
クリストファー・ステュワート&ショーン・ホール組のナンバーが中核を成すアルバムの中でも
ブライアン手掛ける3曲の存在感は際立っていて、緻密に組立てられた作品群は
アルバムに清涼感溢れる潤いを与えているかの様。
"Second Chance"で聴かせるブライアンとのコーラス・ワーク、
本当に堪りません。。。


またブライアンの手掛けた作品の中でもお気に入りは
モータウンからリリースされたティム・マイナーの3rd『Tim Miner』
に収録された"Love All hurt Away"
 
Tim Miner 『Tim Miner』('92)
デビュー当時はロン毛&イケメンでヴィジュアル先行なセールス展開でしたが、
彼の歌唱力を侮ってはいけません。
ブライアンとの相性は凄まじくハマッており、ヴォーカルの表情が似通っている事や
ティムの素晴らしい歌唱も相俟って充実したコラボレーションを聴かせていますが、
アルバムで唯一のコラボに終わっている事が残念で仕方ありません。


では、長い閑話もお終い。長過ぎた(笑
ブライアン・マクナイト"YOU"はウェイマン・ティスデイルとのコラボ作品。
ウェイマン自身のアルバムにも収録されたナンバー。


因みに、ウェイマン・ティスデイル(Wayman Tisdale)は〜。
元はバスケットボール・プレイヤーという、経歴を持ち
ロス五輪のオールアメリカン代表として、金メダルも獲得。
その後はNBAで活躍しつつ、モータウンからもアルバムをリリース。
また右足の悪性骨腫で右膝下を切断しているそう。


ヤンキースのバーニー・ウィリアムズもそうだけど、本業の傍らで
音楽の腕を磨いたアスリートが本格的にアルバム・デビューするんですよね。
それがトピックスで終わるのではなく、本人は至って真剣に向き合っているから凄い。


さて、今回紹介する"YOU"もブライアン独特な美学に貫かれたスロウ・ナンバー。
ウェイマンのベースが優しく寄り添う、控え目に演出されたコーラスが
何とも言えません。。。